言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist ; ST)は、病気や事故によって、言葉や聞こえなど、コミュニケーションに障害のある人(言語聴覚障害者)や周囲の方々に対して、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・教育関係者・療育関係者などと連携を取りながら、機能回復や機能維持のための訓練、指導、検査などを行うリハビリテーションの専門家です。

対象となる主な障害は、失語症、高次脳機能障害(「見る・聞く・触る」などの感覚から「知る・わかる・注意する・考える・行う」といった一連の活動を支える脳機能の障害)、運動障害性構音障害(神経や筋肉に生じるさまざまな病気によって話すことに必要な機能の障害)、機能性構音障害(耳の聞こえに問題がなく、言葉を発するために必要な唇や舌などに異常がないにも関わらず発音がおかしい)、口唇口蓋裂(生期に唇や上顎をつくる部分がくっつかず、裂けた状態で生まれてくる先天的な病気)、音声障害、摂食・嚥下障害、言語発達遅滞などです。

これらの障害の主な原因としては、脳疾患(脳卒中、脳腫瘍など)、発達のおくれ・偏り、先天性聴覚障害、脳性麻痺、手術の後遺症などが挙げられます。

対象となる患者の年齢は、発達障害や先天的な機能障害のある子供から、脳卒中や脳梗塞などの後天的な病気の後遺症が残った成人や高齢者と幅広く、その機能の障害についても様々です。
話したくても話せない、相手の話すことがわからないなど、患者は心理的なダメージを抱えていることも多いため、心理学的な知識や技術も要求され、患者の気持ちをくみ取れる優しさや洞察力も必要となります。

言語聴覚士の主な仕事先は、病院などの医療機関や、身体障害者の福祉施設や老人保健施設などの福祉機関、聾学校や養護学校などの教育機関などとなります。

言語聴覚士になるには、言語聴覚士の国家試験に合格し、免許を申請しなければならなりません。
合格者は、厚生労働省の言語聴覚士名簿に申請・登録された時点で有資格者となります。

国家試験の受験資格は、高校卒業後、言語聴覚士養成専門学校で3年以上学ぶ、必要な科目を履修できる大学を卒業する、大学卒業後養成校で2年以上学ぶなどのパターンがあります。

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言語聴覚士国家試験は、年1回、2月上旬の土曜、全国(北海道、東京都、愛知県、大阪府、広島県及び福岡県。)で行われ、厚生労働大臣が指定する財団法人医療研修推進財団が実施します。

受験資格は、以下のいずれかの条件を満たすことが必要です。

・高等学校の卒業者
文部科学大臣が指定した大学(4年制大学、3年制短期大学)、または厚生労働大臣が指定した言語聴覚士養成所(3年ないし4年制の専修学校)に入学し、必要な知識および技能を修得して卒業した者

・大学等で、2年以上指定科目を履修した者(高等専門学校では5年以上)
言語聴覚士養成所で1年以上言語聴覚士として必要な知識および技能を修得した者

・大学等で、1年以上指定科目を履修した者(高等専門学校では4年以上)
言語聴覚士養成所で2年以上言語聴覚士として必要な知識および技能を修得した者

・4年制大学卒業者
2年制の専修学校において必要な知識および技能を修得して卒業した者

・海外の大学などで言語聴覚療法の学校を卒業、または免許取得者
厚生労働大臣に書類を提出して認定を受けた者

・大学(短期大学を除く)での指定科目を修了した卒業者
書類審査を経て受験資格が得られた者

試験の様式は、マークシート形式で、五肢択一式の設問のみ計200問出題(午前100問、午後100問)されます。

試験科目は、午前に基礎医学、臨床医学、臨床歯科医学、音声・言語・聴覚医学、心理学、音声・言語学、社会福祉・教育、午後に言語聴覚障害学総論、失語・高次脳機能障害学、言語発達障害学、発声発語・嚥下障害学、聴覚障害学の順に行われます。

合格基準は合格発表後に掲示されますが、全部合わせて6割とらないとその時点で不合格となります。

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