社会保険労務士は、労働・社会保険に関する法律、人事・労務管理の専門家として、申請書・届出書・報告書・審査請求書・異議申立書等の書類作成代行等を行い、企業経営の3要素(ヒト・モノ・カネ)のうち、ヒトの採用から退職までの労務管理や社会保険に関する諸問題、さらに年金の相談に応じる、ヒトに関する相談・指導を行うエキスパートです。
さらに、特定社会保険労務士としての付記を受けた場合には、労働紛争に伴う裁判外紛争解決手続制度の代理業務を行います。

社会保険労務士の業務は、主として企業との顧問契約となり、企業の人事・労務諸問題に関する相談、社会保険・労働保険諸手続きの事務代理・提出代行、給与計算などが主なものとなります。

尚、企業に勤めて業務を行う勤務士業登録が正式に資格として認められているのは、士業の中でも社会保険労務士だけです。

開業社会保険労務士は、主に多くの中小企業、零細企業を対象として多角的に人事・労務管理業務を行う一方で、勤務社会保険労務士は、大企業の管理部門に所属し、企業内での人事・労務管理に専業従事します。

社会保険労務士になるには、ます全国社会保険労務士会連合会が実施する社会保険労務士試験に合格しなければなりません。
合格すると、社会保険労務士有資格者(資格取得者)となります。この段階では、まだ社会保険労務士ではありません。社会保険労務士となるためには、全国社会保険労務士会連合会に登録する必要があります。ただし、その登録には、実務経験2年以上が必要とされています。
仮に、社会保険労務士実務の経験が2年以上ない場合には、事務指定講習(全国社会保険労務士会連合会が実施する講習)を受けなければなりません。この事務指定講習を受講することで、「2年以上の実務経験」が免除されます。この指定講習は、通信形式と講義形式(スクーリング4日)でおこなわれます。
事務指定講習が終わり、社労士登録が済むと、都道府県社労士会に入会し、「開業社労士」または「勤務社労士」となることができます。

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社会保険労務士試験は、厚生労働省が実施する国家試験で、試験の管轄は、全国社会保険労務士会連合会が管轄し、社会保険労務士試験センターが試験事務を行います。
例年、8月第4日曜日に全国19の都道府県(北海道、宮城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、香川県、福岡県、熊本県、沖縄県)で実施します。

受験資格は、学歴または資格、職歴の条件によります。
学歴
・4年制大学で、一般教養科目の学習が終わった者(在学中で学士の学位を取得した者も含む)
・大学(短期大学を除く)において62単位以上を修得した者
・短期大学又は高等専門学校を卒業した者
・就業年限が2年以上で、かつ、課程の修了に必要な総授業時間数が1,700時間以上の専修学校の専門課程を修了した者
・その他、厚生労働大臣が認めた学校の卒業者
資格
・司法試験の1次試験合格者や、高等予備試験合格者
・行政書士となる資格を有している者(行政書士試験の合格者)
職歴
・社会保険労務士(社会保険労務士法人)または、弁護士(弁護士法人)の補助事務経験が、通算して3年以上ある者
・国や地方の公務員として、行政事務経験が通算して3年以上ある者
・労働組合の役員として、労働業務専従期間が通算して3年以上ある者
・会社の役員として、労務担当期間が通算して3年以上ある者
・労働組合の職員あるいは、会社、個人事業の従業員として、厚生労働省で定められた事務経験が通算して3年以上ある者試験出題範囲は、8つの法律科目(労働基準法および労働安全衛生法、労働者災害補償保険法
雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法、労務管理、その他労働および社会保険に関する一般常識)と、関連する一般常識から出題されます。

出題形式は完全マークシート方式で、科目別の出題ではなく、選択式と択一式の出題形式で、選択式は8科目から出題され、択一式は7科目から出題されます。
午前:選択式、設問が8題(1設問につき5問=合計40か所の穴埋め 合計40点)、制限時間80分(1時間20分)。原則、各設問のうち3問以上正解し、かつ総得点が28点以上でなければなりません。
午後:五肢択一式10問が7つ=70問(1問1点合計70点)、制限時間210分(3時間30分)。原則、各設問につき4問以上正解しなければなりません。

合格するには、満点の60~70%以上の得点が目安で、各科目ごとの合格ラインも設定されています。
合格率は、8~10%台で難関となっています。

社会保険労務士の徽章は、菊の花弁の中央にSRの文字が付されています。SRは、ラテン文字で社会保険(Syakaihoken)労務士(Roumushi)の各頭文字です。
素材は、純銀の台座に純金貼りが施されており、中央SR部はプラチナ製となります。

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