技術士は、「技術士法」に基づいて行われる国家試験(「技術士第二次試験」)に合格し、登録した人だけに与えられる称号です。有資格者は技術士の称号を使用して、登録した技術部門の技術業務を行うことができます。

産業経済、社会生活の科学技術に関するほぼ全ての分野(21の技術部門)をカバーし、先進的な活動から身近な生活にまで関わってます。
また、「技術士」は、科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者で、科学技術の応用面に携わる技術者に与えられる権威のある国家資格です。

一方、技術士は同じく「技術士法」に基づく国家試験(「技術士第一次試験」)に合格し、登録した人だけに与えられる称号です。
技術士補は、技術士の指導の下で、技術士補の称号を使用して、技術士を補佐する技術業務を行えます。

法律上では技術士の業務が「計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務」と広く定義されています。
しかし、建築・建築設備に関する設計等を例にとると、建築士の独占業務となっているため、技術士はこのような業務は行なえないなどの制限があります。
そのため、実際に技術士が求められる役割は「指導の業務」すなわち技術コンサルタント(コンサルティング・エンジニア)としての場です。

技術士全体の84%が一般企業やコンサルティング会社に勤務し、約8%が官公庁に勤務しているほか、約8%は技術士事務所を開業して独立技術コンサルタントとなっています。

技術士になるは、技術士試験試験に合格しただけでは技術士にはなれません。所轄官庁である文部科学省に所定の手続きにより登録が完了して、はじめて技術士の権利と義務が発生します。

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技術士試験は、技術士法の指定試験機関である公益社団法人日本技術士会が実施しています。

試験は、第一次試験と第二次試験があります。

第一次試験
受験資格はなく、誰もが受験できます。
筆記試験は、10月中旬に全国(北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県)で行われます。
第一次試験に合格すると、技術士補登録をする資格が得られます。
試験科目は択一式で、共通科目(技術士補として必要な共通的基礎知識)、適性科目(技術士法第四章の規定の遵守に関する適性) 、基礎科目( 科学技術全般にわたる基礎知識)、専門科目(当該技術部門に係る基礎知識及び専門知識)となっています。

なお、以下の対象者は、一部試験科目等が免除されます。
・大学の理科系学部を卒業した者や、指定国家資格の保有者は、共通科目が免除
・大学や高専などの教育機関の、日本技術者教育認定機構 (JABEE) が認定した教育課程を終了した者は、第一次試験の合格者と同等とみなされる

合格率は、およそ40%程度です。

第二次試験
第二次試験の筆記試験を受験するには、修習技術者(技術士一次試験合格もしくはJABEE認定課程の修了)であることに加えて、次のいずれかの条件を満たすことが必要となります。
・技術士補として4年間(総合技術監理部門は7年間)以上、技術士を補助する業務に就いた
・第一次試験に合格してから4年間(総合技術監理部門は7年間)以上、監督者の下で「科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、評価又はこれらに関する指導の業務」に就いた
・7年間(総合技術監理部門は10年間)以上「科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、評価又はこれらに関する指導の業務」に就いた
このように、二次試験の受験には、原則として7年(総合技術監理部門は10年)の実務経験が必要となります。

試験は筆記試験技術的体験論文の提出、口頭試験となります。
筆記試験は、8月第1週に全国(北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県)で行われます。
試験科目は、選択科目と必須科目となり、それぞれ600字詰用紙に3~6枚の記述式となります。

筆記試験に合格すると、図表等を含め3000字以内でA4用紙2枚の技術的体験論文を作成し、所定の期日(10月下旬~11月中旬)までに提出します。

技術的体験論文を提出した者だけが口頭試験を受験できます。
口頭試験は、12月上旬~翌年1月下旬に東京都で行われます。
口頭試験は、筆記試験の答案、技術的体験論文、および受験申込書に添付した業務経歴書を使用して実施されます。

二次試験の合格率は年度や部門、部門内の選択科目によって異なりますが、筆記試験が19%程度、口頭試験が16%です。

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