通関士は、輸出入されている物品の通関手続(税関への手続)をするために必要な財務省管轄の国家資格です。
通関書類への審査及び記名押印は、通関士による必要があるため、通常は通関士以外が、他人の依頼により貨物の輸出入申告手続きをすることはできません。

貿易の輸出入に関する、通関手続きは非常に煩雑で、専門的な知識を持つ、通関士が必要です。
通関手続きでは1つでもミスがあると、税関を通すこと(通関)がでなくなります。
そのため、貿易手続きの資格を持つ通関士によって、通関書類の作成や通関の申請が行なわれます。

貿易に関しては、通関士以外に公的に認められた資格はないため、通関業者や商社、物流の会社で働く方には、非常に重要な資格となります。
また女性にとって、この国家資格に合格して実務経験を積み、十分な能力を身につけることにより、男性と平等に仕事ができるメリットがあります。

通関業を行なっている、倉庫会社、運送会社、航空会社などは、各営業所に専任の通関士を1名以上置くことが、法律で義務付けられています。

通関業者が行なうことのできる通関業務の範囲は、概ね次の5つがありますが、そのほとんどが所属している通関士の仕事です。

・通関手続きと書類作成の代行
・関税計算書等の審査
・不服申し立ての代理・代行
・主張または陳述の代行
・貿易のアドバイザー

具体的には、輸出入の品物があると、税関に提出する申告書は全て、通関士がその内容を作成、チェックして、ミスのないようにします。
そして、通関士の資格を持つ人が、申請書を作成、チェックした後に、記名、捺印するか、IDカードでコンピューター上から、申告書を税関に提出します。
このIDカードは、通関士1人1人が所有しており、IDカードの番号によって、どこの通関業者の誰が申告したのか、すぐにわかるようになっています。

[include file=/rssb/13485/rss.html]

通関士になるには、まず最初に、毎年1回、10月初旬~中旬 の日曜日に実施される通関士の国家試験に合格しなければなりません。
これには例外はなく、たとえ通関業者で長年働いている人でも、必ず通関士試験に合格する必要があります。
ただし、通関業務や税関に係る業務に就いていた期間が5年、あるいは、15年以上ある場合は、試験科目の一部免除の制度を利用することができます。

通関士の資格取得を目指す受験者は、毎年1万人前後にのぼっています。

通関士の国家試験に合格後は、通関業者で通関業務に就き、その後、勤務先の通関業者からの申請によって、税関の長から「通関士の確認」を受ける必要があります。
この通関業者からの申請は、申請する通関士の有資格者が経験を積んで、通関業務を円滑に行なえる能力が、身に付いたと判断した場合に申請が認められています。
つまり、試験に合格する知識と、実際の実務には差があるため、国家試験に合格したからといって、すぐに通関士として認められません。

よって、通関士になるには、通関業を行なっている会社で働き、十分な経験を積んでいることが条件になります。

通関士試験の受験資格に学歴、経歴、年令、国籍などの制限はありませんので、誰でも通関士試験を受験できます。

受験場所は全国13カ所。札幌、新潟、東京、仙台、横浜、静岡、名古屋、大阪、神戸、広島、福岡、熊本、那覇で、受験場所の制限はなく、全国どこで通関士試験を受験しても、かまいません。

試験方法は、全てマークシート方式での解答となっています。
試験科目は、以下の3科目。

 1. 通関業法
 2. 関税法等
   関税法、関税定率法その他関税に関する法律、
   および外国為替、外国貿易法(第6章に関する部分のみ)
 3. 通関実務
   通関書類の作成要領、その他通関手続きの実務
   *実際に、輸出申告書と輸入申告書を作成し、関税額を計算。

3科目とも、択一式と選択式の試験があり、120満点で採点され、全ての科目試験で、60%以上の得点を取る必要があります。
1つでも60%未満の科目があると、通関士試験は不合格になります。

[include file=/rssb/13486/rss.html]