不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価に関する法律に基づき制定された国家資格で、不動産の適正な価格についての鑑定評価、いわゆる不動産の経済価値に関する市場の代行機能としての役割を担う高度専門家です。

他人の求めに応じ報酬を得て不動産の鑑定評価を行い、不動産鑑定業を営むためには不動産鑑定業者の登録を受けなければなりません。

不動産の鑑定評価の対象となる主なもは、宅地(土地)については、更地、建付地、借地権、底地、区分地上権等があり、建物及びその敷地(土地と建物)については、自用の建物及びその敷地、貸家及びその敷地、借地権付建物、区分所有建物及びその敷地等があります。

不動産鑑定士の独占業務は不動産の鑑定評価であり、不動産鑑定士以外の者が不動産の鑑定評価を行えば、刑事罰の対象となります。

不動産鑑定士は、不動産鑑定士試験に合格し、定められた手順を経た後に国土交通省に備える不動産鑑定士名簿に登録されます。

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不動産鑑定士の主な業務としては、公的機関から依頼されるものと、民間企業や個人等から依頼されるものに大別されます。

公的機関から依頼されるものとしては、
・地価公示法に基づく標準地の鑑定評価
・国土利用計画法施行令に基づく基準地の鑑定評価
・相続時の分配や、相続税額算定のため時価評価が必要な場合に鑑定評価
・固定資産税評価、相続税課税のための路線価評価
・都市計画法や土地収用法によって土地が収用される際の補償のための鑑定評価
・競売物件や担保物件の評価
・国有財産の評価や国土利用計画法に基づいた鑑定評価

民間企業や個人等から依頼されるものとしては、
・不動産の売買時における適正価格を決定する際の鑑定評価
・不動産の証券化や抵当証券を発行するための鑑定評価
・金融機関が資金を融資する際の担保評価
・会社合併時や、会社更生法または民事再生法の要請に伴う資産評価
・共同ビルの権利調整や再開発などの際、権利関係を明確にするための鑑定評価
・独立行政法人化に伴う資産評価
・都市再開発法に基づく市街地再開発事業における従前・従後の各種権利の鑑定評価
・株式会社へ不動産を現物出資する際の鑑定評価
・地代や家賃の更新・改定時の係争における評価
・相続発生時における資産価値の評価
・清算、公売のための鑑定評価
・地価公示法に基づく鑑定評価

などのほか、不動産の利用方法や運用方法に関するコンサルティング業務もあります。

不動産鑑定士となるためには国土交通省土地鑑定委員会が実施する国家試験に合格しなければなりません。
不動産鑑定士試験に合格し、定められた手順を経た後に国土交通省に備える不動産鑑定士名簿に登録されなければなりません。

試験は、短答式試験及び論文式試験の2回の試験が行われる。
短答式試験に合格した場合、以後2年間の短答式試験が免除され論文式試験を受けることができます。旧2次試験の合格者は、新試験の合格者とみなされます。

短答式試験は5月中旬の日曜日に北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県で行われ、不動産に関する行政法規、不動産の鑑定評価に関する理論について、各120分、各40問出題されます。
不動産に関する行政法規の試験範囲は、土地基本法、不動産の鑑定評価に関する法律、地価公示法、国土利用計画法、都市計画法、など、不動産に関する法律の総合的な力が要求されます。
論文式試験は8月の第1日曜日を含む土・日・月曜日の連続する3日間に東京都、大阪府、福岡県で行われます。

論文式試験は民法、会計学、経済学、不動産の鑑定評価に関する理論、不動産の鑑定評価に関する理論(演習科目)からの出題。
民法、会計学、経済学は、各120分、各大問2題が出題され、不動産の鑑定評価に関する理論は240分、大問4問が題されます。
論文式試験は、3日に分けて合計12時間かけて行われる試験となります。

社団法人不動産鑑定協会に入会すると、5つの輪の中に社団法人日本不動産鑑定協会の英文“Japanese Association of Real Estate Appraisal”の頭文字 「JRAEA」を入れた鑑定士バッジがもらえます。

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